犬の耳の病気は「いつもとの違い」を早めに見る

犬の耳の病気でまず確認したいのは、耳の外側と見える範囲の赤み、臭い、耳垢、頭を振る回数、耳をかく頻度、触られたときの反応です。耳の形や被毛によって見え方は変わりますが、普段の状態と比べて急に変わったかを記録すると、受診の判断と診察の両方に役立ちます。

最初に確認したい5つのこと

  • 頭を振る、耳をかく、床に耳をこすりつける行動が、普段より増えていないか確認します。
  • 耳の入口の赤み、腫れ、湿り、悪臭、耳垢や液体がないかを、見える範囲だけ観察します。
  • 片耳だけか両耳か、いつからか、散歩・水遊び・シャンプーの後かをメモします。
  • 触ると強く嫌がる、鳴く、怒る場合は、耳を押さえたり洗ったりせず受診を優先します。
  • 首の傾き、ふらつき、吐く、食べられない、元気がないなど耳以外の変化も一緒に見ます。

外耳炎は犬でよく見られる耳のトラブルの一つですが、耳の奥の炎症、異物、寄生虫、アレルギーなど原因はさまざまです。この記事は一般的な情報であり、診断や治療の代替ではありません。強い痛みや神経症状がある場合、また症状が続く場合は、かかりつけの動物病院へ相談してください。

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かゆみ・臭い・赤み・耳垢で見る主なサイン

犬は耳の不快感を言葉で伝えられないため、行動と耳の見た目を組み合わせて観察します。頭を一度振っただけ、耳の入口が少し湿っているだけで病名を決めることはできません。一方で、回数が増える、片側に偏る、臭いや分泌物が重なるといった変化は、診察を検討する材料になります。

犬の耳の外側の赤みや汚れを飼い主が明るい場所で観察している様子
耳の奥へ器具を入れず、犬が落ち着いているときに外側と入口の見える範囲を短く確認します。

耳に出やすい変化と受診の考え方

見られた変化 観察するポイント 対応の目安
頭を振る・耳をかく 回数、片側だけか、床へこすりつけるか、眠れないほどか 繰り返す、急に増えた、痛がる場合は早めに相談する
耳が臭い 左右差、臭いの強さ、湿りや分泌物の有無 急な悪臭や耳垢の増加があれば受診を検討する
赤い・腫れている 耳介と入口の赤み、熱っぽさ、出血、触ったときの痛み 腫れが強い、出血する、触れないほど痛がる場合は急ぐ
耳垢・液体が増えた 色、量、粘り、片耳か両耳か、膿のような見た目か 色だけで判断せず、増加や臭いを伴うなら診察を受ける
首が傾く・ふらつく 急に始まったか、歩行、吐き気、目の動き、反応の変化 深い耳の異常なども考え、当日中に病院へ連絡する

耳垢の色は手がかりにはなっても、原因を一つに決める材料ではありません。黒っぽい、茶色い、黄色い、緑色に見えるなどの違いだけで、市販薬や洗浄方法を選ばないようにします。耳をこする回数、臭い、赤み、痛み、全身の元気を一緒に記録しておくと、症状の進み方を伝えやすくなります。

犬の耳の病気は原因が一つとは限らない

犬の外耳道は、入口から下に続く部分と横に続く部分があるL字型で、人の耳とは構造が異なります。垂れ耳、耳道の狭さ、耳毛、皮膚の体質などは耳の中の環境に影響することがありますが、立ち耳の犬でも耳の病気は起こります。犬種名だけで判断せず、その犬の普段の耳と皮膚を基準に見ましょう。

主な原因と見分けるときの注意点

原因の候補 起こりうるきっかけ 家庭での判断
外耳道の炎症 耳の皮膚に炎症が起こり、かゆみ、赤み、臭い、耳垢が出る 外耳炎かどうかや重症度は、耳鏡などの診察で確認する
アレルギー・皮膚の病気 耳以外の足先、脇、口元などもかゆがる、繰り返す 耳だけを洗って終わりにせず、皮膚全体の変化を伝える
細菌・真菌の増殖 炎症や湿気をきっかけに微生物が増え、耳垢や臭いが変わる 顕微鏡検査などで確認し、薬を自己選択しない
寄生虫 強いかゆみや黒っぽい耳垢が見られることがある 耳垢の見た目だけで決めず、他の動物との接触歴も伝える
異物・刺激・湿り 草の種、水遊び、シャンプー、強い耳掃除などがきっかけになる 片耳だけ急に悪化した場合も、奥を探らず診察を受ける

よく出てくる病名の位置づけ

  • 外耳炎は、耳介から鼓膜までの外耳道の皮膚に炎症が起こる状態で、かゆみ、赤み、臭い、耳垢などが見られることがあります。
  • 中耳炎・内耳の異常では、耳の入口から見える変化だけでなく、首の傾き、ふらつき、吐き気などが出る場合があります。
  • 耳血腫は、強くかいたり頭を振ったりした刺激で耳介が腫れる状態で、急に耳たぶが膨らんだときは診察が必要です。
  • 耳ダニやアレルギーは外耳炎を起こしたり悪化させたりする要因になることがありますが、耳垢の色だけでは特定できません。

原因を絞るために記録したいこと

  • 症状が始まった日時と、左右どちらの耳かを記録します。
  • 散歩で草むらに入った、水遊びをした、シャンプーをしたなど直前の出来事を書きます。
  • フード、薬、洗浄液、シャンプー、トリミングなど最近変えたものをまとめます。
  • 耳以外の皮膚の赤み、足をなめる、目やに、便や食欲の変化も一緒に伝えます。

耳の病気が繰り返すときは、耳だけの一時的な問題ではなく、アレルギーなど別の体質や皮膚の病気が関係することもあります。症状が引いたからとケアを急に増やしたり、薬を残して使ったりせず、再発の間隔や治療後の状態を獣医師へ相談しましょう。

病院では何を調べる?家庭で薬を使わない理由

動物病院では、耳の外側だけでなく耳道の中を耳鏡で確認し、鼓膜の状態、腫れ、異物、分泌物などを見ます。採取した耳垢を顕微鏡で調べ、細菌や真菌などの関与を確認することもあります。症状が重い、長引く、何度も再発する場合は、基礎にある皮膚の病気やアレルギーなどを追加で検討します。

動物病院で獣医師が犬の耳を診察し飼い主が症状の記録を見せている様子
いつから、どちらの耳に、どの程度の変化があるかを記録して持参すると、診察で確認したい点を共有しやすくなります。

受診時に伝えると役立つ情報

  • 頭を振る、かく、痛がる、臭うなどの最初の変化と、その後の頻度を伝えます。
  • 片耳か両耳か、耳垢や液体の色・量、写真や短い動画があれば見せます。
  • 最近のシャンプー、耳掃除、水遊び、トリミング、薬や洗浄液の使用を伝えます。
  • 過去の外耳炎、皮膚症状、アレルギー、現在の薬や療法食があれば伝えます。

原因によって点耳薬、洗浄、駆虫、皮膚の治療など対応が変わり、鼓膜の状態によって避ける薬もあります。市販の点耳薬、人間用の薬、以前の処方薬を自己判断で使うと、診断を遅らせたり耳を刺激したりするおそれがあります。処方された場合も、臭いやかゆみが減った時点で中断せず、再診や使用期間を確認してください。

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受診までに家庭でできること・避けること

受診までの家庭ケアは、耳をきれいに見せることより、これ以上刺激しないことを優先します。犬が落ち着いているときに耳の外側と入口の見える範囲を確認し、写真やメモを残します。強く嫌がる場合は観察を中止し、耳を押さえつけたり、奥の汚れを取ろうとしたりしないでください。

受診までの対応と避けたい行動

してよいこと 避けたいこと 理由
見える範囲の赤み・臭い・耳垢を短く記録する 耳の奥へ綿棒や指を入れる 傷や汚れを奥へ押し込んだり、鼓膜を傷つけたりする可能性がある
水遊びやシャンプーを控え、耳の外側が濡れたらやさしく乾かす 強い力でこする、熱風を近づける 摩擦や熱が炎症を刺激することがある
処方された方法と薬の使い方を病院へ確認する 人用の点耳薬、消毒薬、精油、残った薬を使う 原因や鼓膜の状態に合わない薬がある
掻き壊しそうなら受診先に保護方法を相談する 耳を触られることを嫌がる犬を無理に押さえる 咬傷や恐怖を招き、耳の痛みを悪化させることがある

耳掃除をする場合の注意

  • 耳掃除の方法と頻度は、耳の状態を見た獣医師の指示を優先します。
  • 洗浄液を使う場合も、鼓膜や耳道の腫れを確認した後の方法に合わせます。
  • 家庭での洗浄中に痛がる、出血する、強く頭を振る場合はその場で中止します。

耳の中が汚れているように見えても、家庭で完全に取り除く必要はありません。耳の奥を見られるのは診察時だけで、見える範囲の汚れを落とすことが治療のすべてになるわけでもありません。受診先へ電話するときは、写真を送れるか、食事を与えてよいか、当日受診が必要かも確認すると安心です。

受診を急ぎたい症状と早めに相談する目安

耳の症状は見た目だけでは重症度を判断しにくく、痛みを隠す犬もいます。迷ったときは、症状の組み合わせ、始まった速さ、歩き方や食欲など全身の状態で考え、かかりつけや夜間対応の動物病院へ電話で相談しましょう。受診の時間は地域と犬の状態で変わるため、下表は連絡の優先度を考える目安です。

症状別の連絡優先度

優先度 見られる変化 対応
すぐ連絡 急な首の傾き、ふらつき、転倒、何度も吐く、けいれん、意識や反応の変化 無理に歩かせず、当日すぐ病院へ連絡して受診方法を確認する
早急に相談 強い痛み、触れない、耳からの出血、耳たぶの急な腫れ、顔の片側の動かしにくさ 自宅で洗浄や投薬をせず、診察の時間を病院へ確認する
早めに受診 頭を振る・かく行動が続く、悪臭、赤み、耳垢や液体の増加、耳を気にして眠れない 症状が軽く見えても放置せず、早めの診察を予約する
経過を記録して相談 一度だけの軽い動作でも繰り返す、以前の外耳炎を何度も再発する 発生時刻、左右、環境、写真を記録し、次の受診で共有する

移動時に気をつけること

  • ふらつく犬は階段や段差を歩かせず、キャリーやタオルなど安全な方法を病院へ相談します。
  • 痛みが強い犬の耳を確認しようとせず、顔を近づけすぎないよう家族も注意します。
  • 吐いている、意識が変、呼吸が苦しい場合は、写真撮影や耳掃除より先に電話と受診を優先します。

耳たぶが急に膨らむ場合は、強くかいたことによる血腫など別の処置が必要になることがあります。首の傾きやふらつきは耳の奥だけでなく、他の病気でも起こり得ます。症状名を検索して様子見を続けるより、急な変化と犬の状態をそのまま動物病院に伝えてください。

再発を防ぐ耳の観察ルーティン

耳の病気を防ぐために大切なのは、汚れを毎回強く取ることではなく、その犬に合った観察と治療後の管理を続けることです。耳掃除のしすぎや、症状がないのに洗浄を増やすことが刺激になる場合もあるため、頻度と方法は獣医師に相談して決めます。

暮らしの中で続けたい確認

  • 犬がリラックスしているときに、耳の外側、入口の赤み、臭い、汚れを短時間で確認します。
  • 散歩で草むらに入った日、水遊びやシャンプーをした日は、耳の外側と被毛の湿りを見ます。
  • 外耳炎を繰り返す犬は、受診日、薬、洗浄、再診、耳以外のかゆみを一つの記録にまとめます。
  • 垂れ耳や耳毛の多い犬も、耳を引っ張ったり毛を大量に抜いたりせず、ケア方法を病院やトリマーと相談します。
  • 耳の変化だけでなく、食欲、睡眠、歩き方、体重、皮膚の状態も普段と比べます。

観察のタイミングと記録項目

タイミング 見ること 残す記録
普段の短い確認 赤み、臭い、湿り、耳垢、頭を振る回数 左右差と前回からの変化
散歩・水遊びの後 耳の外側や被毛が濡れていないか、草の種が付いていないか 日時、活動内容、犬が気にしたか
治療中・治療後 かゆみ、痛み、臭い、分泌物、薬への反応 投薬時刻、症状の変化、再診日
再発したとき 耳以外の皮膚、食事、便、元気、季節や環境 直近数週間の変更と写真・動画

耳を触られることに慣らす練習も、症状がない時期に犬が嫌がらない範囲で少しずつ行います。触る、見る、においを確認する、終わったら休むという短い流れを作ると、異変に気づきやすくなります。嫌がる反応が強くなったときは練習を進めず、痛みや不安がないか動物病院へ相談してください。

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まとめ:耳は見える範囲を観察し、診断は病院へ

犬の耳の病気は、かゆみ、頭を振る、臭い、赤み、耳垢、痛がる反応から気づくことがあります。ただし、外耳炎、アレルギー、寄生虫、異物、耳の奥の異常など原因はさまざまで、耳垢の色や臭いだけでは判断できません。

この記事の要点

  • 普段との違いを、左右、頻度、臭い、赤み、耳垢、全身状態と一緒に記録します。
  • 首の傾き、ふらつき、強い痛み、出血、急な腫れ、吐くなどがあれば受診を急ぎます。
  • 綿棒を耳の奥へ入れたり、人用・以前の薬を使ったりせず、診察で鼓膜や耳垢を確認してもらいます。
  • 耳掃除の方法と頻度は犬ごとに決め、症状が落ち着いた後も再発の記録と健康観察を続けます。

耳の変化に気づいたら、写真や動画を撮ることに集中しすぎず、犬の痛みや元気を優先してください。迷ったときは、いつからどちらの耳にどのような変化があるかを伝えて、受診のタイミングを動物病院へ確認しましょう。

よくある質問

犬の耳が臭いだけでも動物病院へ行くべきですか?

急に臭いが強くなった、何度も続く、頭を振る・耳をかく・耳垢が増えたなどの変化を伴う場合は、早めに動物病院へ相談してください。耳の臭いだけで外耳炎と決めつけず、片耳か両耳か、いつからかを記録すると診察に役立ちます。

犬の耳垢が黒い、茶色い場合は耳ダニですか?

黒色や茶色の耳垢だけで耳ダニとは判断できません。外耳炎、細菌や真菌の増殖、寄生虫、皮膚の病気など複数の原因があり、耳垢の検査が必要になることがあります。強いかゆみや悪臭、赤みがあれば自己判断で掃除せず受診しましょう。

犬の耳掃除はどのくらいの頻度で行えばよいですか?

犬の耳の形、皮膚の状態、過去の外耳炎、生活環境によって適切な頻度は変わります。耳の入口を見える範囲で確認することと、耳道の奥を洗うことは別です。洗浄液や頻度は、かかりつけの獣医師に教わった方法を優先してください。

外耳炎は自然に治ることがありますか?

一時的に症状が弱くなっても、原因が残っていると再発や慢性化につながることがあります。外耳炎かどうか、鼓膜の状態、細菌や真菌の有無は家庭では確認できません。頭を振る、かゆがる、臭うなどが続くなら、症状が軽く見えても動物病院へ相談してください。

人間用の点耳薬や以前の薬を犬に使っても大丈夫ですか?

自己判断で使わないでください。原因や鼓膜の状態によって適した薬が異なり、鼓膜に問題がある場合は避ける薬もあります。以前処方された薬を使い回さず、現在の症状、使用中の薬、残っている洗浄液を動物病院へ伝えましょう。

犬が頭を傾けてふらつくときは耳の病気ですか?

深い部分の耳の異常などが関係する場合もありますが、家庭で原因を特定できません。急な首の傾き、まっすぐ歩けない、転ぶ、吐く、顔の片側が動かしにくい、反応が乏しいといった変化があれば、当日中に動物病院へ連絡し、受診方法を確認してください。

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